義務教育なんて言葉のない時代でも、人々は自分の子供に教育を施していました。公立、私立問わず学校に行かせていたものもいれば、家で家庭教師をつけて学習をしていたものもいました。その頃は特にどちらがいい、ダメというわけでもなく、家庭ごとに教育方針が決まっていました。16世紀、17世紀のヨーロッパは正にそんな感じでした。ただその中で、ロックとかルソーとか中学の社会科に出てくる著名な二人がどちらもホームスクールを薦めていたという話をします。
・ロックってだあれ?ルソーで誰だっけ?
ロックは一言で言えば、社会契約説を唱えた人です。社会契約説を平たく言えば、「みんな自由なんだけど、犯罪とかを抑えるためにはどうしても政府が必要だ。しかし、その政府はみんなに認められたものじゃないといけない。だから歴代の王=政府というのは間違っている」という感じです。一方のルソーも社会契約論で似たようなことを言っている。「人間一人ひとりだと、他人を含めて色々なものと戦わなければならない。それを阻止するには、共同体に自分の権利を一部挙げることによって、自分の権利(財産など)を守ってもらう。」という感じです。
・ホームスクールをする理由は同じ部分もあれば、異なる部分もある。
ロックもルソーも家庭での教育を主張するのは、当時の詰込み教育への批判がありました。また、どちらも早期に行うこととして、優れた人格形成を目指しました。
しかし、ロックがホームスクールを主張する大きな理由は、自律できる人格の形成です。彼は、子供は生まれたときは白紙の状態であるとし、厳しい生活習慣によって、理性を持つ人格を形成し、自律した考えを持つ人間の形成を目指しました。具体的には、早寝早起き、粗食、冬でも水で体を洗う、などです。ちなみに「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言ったのは彼です。
一方ルソーが家庭教育を主張する理由は、世間にある権威やしがらみから子供を離すことにあります。そういった縛りから子供を守るために、まず子供を自分がやりたいように生きる自然人として教育し、それから社会と協働できる社会人としての教育を行いました。年齢によって教育内容を5段階に分けた5段階教育が有名です。
・残念ながらどちらも子供がいたわけでもなく、教育者というわけでもない。
しかし、ロックもルソーも子供の教育の特別携わったわけでもなく、学校を作ったというわけでもありません。両者とも教育関係の著書を書いていますが、特に彼らの経験談というわけでもないのです。ロックは知人の子供の教育に助言をした程度ですし、ルソーに関しては、子供が5人いたのですが、全員孤児院に送り込んでいます。彼の教育書「エミール」も、想像上の子供と家庭教師の話です。
・まとめ
一言で言えば、「言っていることは正しいかもしれないが、理想はいくらでも言える」という感想を私はもっています。どんなことでもそうですが、考えることは案外誰でもできるのです。大変なことは、プランを実行することです。そういう意味では、ホームスクールを実行している本人や保護者の方が、彼らよりもよっぽど偉いと思います。
とはいえ、やはり頭がいい人が書いた著書なので参考になる所もあるでしょう。ロックの「教育に関する一考察」は、章ごとに分かれていて必要な所だけ読めるので、読みやすくなっています。一方ルソーの「エミール」はとても長いので、ネット上で要点をみて見て、興味がわけば読んでみるのがいいかなと思います。
のぶしのてらこや(ホームスクールプラスα 運営会社)
ホームスクールプラスα
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前職は通信制高校の営業職。教育業で講師としてのの経験が長いが、若い時は営業職を中心に色々な仕事を経験する。前職でホームスクールというものを知り、ホームスクールのことをもっと知ってもらいたいと思い現在こちらのサイト、ホームぺージプラスαを立ち上げる。現状の教育制度から、オルタナティブ教育業界、学習の仕方など、教育に関して色々な記事を書いている。時には辛口記事を書くことも。1児の父で趣味は野菜作り。