知ってる?「にんげん」って買えるんやで。

ある日、ふと大阪の小中学校の道徳の授業で使われていた教科書「にんげん」が何となく読みたいと思いました。「にんげん」は当初部落差別の問題に対して解放教育を行うために出版されました。その後、在日韓国人・朝鮮人問題、障碍者問題、被爆者、ジェンダー問題など、世の中にある多様な差別に関して取り上げました。そんな人間も大阪府の教育予算削減から、「にんげん」の無料配布を2008年に取りやめてしまい、現在は道徳の授業では使われていません。しかし、「にんげん」の購入自体は実は可能で、そして今回実際に購入しました。




・表紙の絵は児童・生徒作品

ほとんどの教科書の表紙は専門家が作っていますが、「にんげん」の表紙は児童・生徒の作品です。中身の絵は絵画よりも彫画が多かったように思えます。正直、暗い絵が多いです。しかし、どこか力強さを感じます。




昔のにんげん




・昔よりも「えぐみ」が少なくなったかな

今回買った「にんげん」は中学生向けの教科書で「にんげん ひと きぼう」という題材のモノです。やはり昔ながらある、外国人差別や障碍者差別についての記載もあります。私の頃にはなかったインターネットでの書き込みに関しての記載もありました。昔に比べて部落差別の記事は少なくなったように思われます。全体的に見てどこか「ぼのぼの」感 が出て、逆に「えぐい」話がなくなった感じがします。気軽に読める一方で、あまり印象に残らない感じがします。




・覚えている「にんげん」の記事3つ

うる覚えですが、印象に残っている話を3つ記載します。




1.軍人だったおじいさんの話

太平洋戦争位の話だったと思います。日露戦争で武功をあげて、今はさつまいも畑の番の仕事をしているおじいさんが主人公です。ある日、捕虜収容所から中国人の老婆が逃げたということが村に伝わりました。その日の夜、畑を見回っているとその中国人の老婆がさつまいもを食べていました。ドロドロの服でさつまいものをがぶリついている姿を見て、おじいさんは、おばあさんがさつまいもを食べることを黙認してしまいます。その後、憲兵にそのことがばれて、拷問を受けます。拷問を受けた後も、村のみんなに「日国民」呼ばわりされます。しかし、おじいさんは「自分は悪いことはけっしてしていない」と信念を持ちつづけました。




2.教科書が無償にする運動の話

戦後しばらくの間、教科書は有料で貧しい家庭では教科書を買うことができませんでした。高知にある半農半漁の部落でも状況は同じでした。ある日、部落の人たちは憲法26条に「義務教育は、これを無償とする」と記載されていることに気が付きます。ここから、教科書無償闘争が始まります。最初は白い目で見られていた運動ですが、徐々に支持を集める。この運動のことがついに国会でも取り上げられ、1963年に〈義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法津〉が成立し、ついに教科書が無償になる。





3.夕やけがうつくしい

北代色さんの手紙です。今回購入した「にんげん」にも掲載されています。北代さんの家は貧しく、子供の頃から家事を手伝ったり、野良仕事をしたりしていたので、学校に行けませんでした。字が書けないので、仕事も限られ、病院では名前も誰かに書いてもらっていました。そんな北代さんが70歳ではじめて、識字学級で字を習い始め、書いた手紙がこの「夕やけがうつくしい」です。字が書けるようになった喜びが現れています。私は読んで涙が出てきました。




是非読んでください。




こうしてみると、大事な話がたくさん記載されていると思います。道徳の授業は運動会などの行事の準備とかでとかく無視されすぎています。しかし、こういうことを学ぶことは、漢字の書き取りや計算ドリルと同様に大切なことなのではないでしょうか。是非手に取って読んで欲しい教科書です。




のぶしのてらこや(ホームスクールプラスα 運営会社)
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